栃木県建築士会女性委員会のメンバーお二人と一緒に、取材を兼ねて「旧篠原家住宅」へ行ってきました。JR宇都宮駅のすぐ近くにある、国の重要文化財の指定を受けている木造2階建の建物です。明治28年建築で、第二次世界大戦の戦災も免れ、当時の豪商の姿を見ることができる貴重な建物です。。
建物に入ってまず驚くのが、1尺5寸角(約45cm)のケヤキの大黒柱です。長さ11mを超える通し柱で、2階床の間の床柱を兼ね、さらにその上の棟木まで達しています。
上の写真は2階の和室(大広間)ですが、なんと20畳あります。婚礼やお祝い事など接客の場として使われていました。この床柱が1階から伸びている通し柱です。床板は、ケヤキの一枚板、床脇の棚板もケヤキの一枚板です。天井、障子、照明器具、ガラス戸、、、等々、当時の豪商ぶりが、いたるところで垣間見られる造りですが、決して華美ではないので、とても落ち着く空間となっています。
特に私が気に入ったのが、こちらの箱階段です。
すべてケヤキ造りで、側面は収納家具、引き出しの引手は、獅子のデザイン!!とてもステキでした。100年経った今でも、全く狂いがないそうです。当社佐々木設計企画でも、このような箱階段使ってみたいですね。
そしてもう一つ、大谷石張りの外壁も目を惹きました。
目地の部分と釘の頭部分が黒漆喰で塗ってあります。大谷石張りだけでもシンプルでいい雰囲気になりますが、このようにアクセントが入ると、また違った雰囲気で、レトロモダンな感じですね。
こちらの建物、単に銘木をふんだんに使った贅沢な屋敷というばかりではなく、防火と防犯に関しても実に効率よく対策が施されています。今風にいえば、スマートハウスですね。大谷石、漆喰は、もちろん耐火性に富んでいます。入口のくぐり戸にも、2重、3重の用心ぶり。帳場の背面にある収納にも実は一工夫。
6か所の引違建具が入っていますが、番頭さんが座る背面の建具1か所だけは、建具を開けると、わざと音が出る造りとなっています。ここに貴重品を置いていたのでしょうね。
保存会会員24名の方が日替わりで受付管理を担当されているそうですが、とても丁寧に説明をしてくださいました。お世話になりました。